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顎変形症が診断されなかった理由とその対策

顎変形症が診断されなかった理由とその対策

顎変形症は、日常生活に大きな影響を及ぼすことがありますが、その診断が見逃されることも少なくありません。特に初期段階では症状が軽度であるため、適切な医療機関での診察を受けないと、見過ごされるリスクが高くなります。顎変形症の症状や診断が見逃される原因、そして診断を受けるためのポイントについてご説明します。

顎変形症とは?

顎変形症とは、顎の形状や位置に異常がある状態を指します。この症状は、食事や会話に支障をきたすだけでなく、見た目にも影響を与えることがあります。顎変形症は、通常、顎の骨が正常に発達しなかった場合や、外傷による影響で発生します。特に成長期に発症することが多く、早期の診断と治療が重要です。

顎関節症の主な症状

顎関節症(がくかんせつしょう、Temporomandibular Joint Disorder: TMD)は、顎関節や咀嚼筋に問題が生じることで起こる疾患です。主な症状には以下のようなものがあります。

1. 顎の痛みや不快感

口を開けるときに顎関節や咀嚼筋に痛みを感じることが多いです。この痛みは、耳の前、こめかみ、頬などに広がることがあります。

2. 口を大きく開けられない

口を大きく開けることが出来ないなど、口を開けたり閉じたりする際に違和感を感じることがあります。顎を動かす際に引っかかる感じやロックされるような感覚がある場合もあります。

3. 顎から音がする

口を開け閉めすると、顎関節から「カクカク」や「ゴリゴリ」といった音がすることがあります。この音は顎関節がずれることで生じることが多いです。

4. 頭痛

顎関節症は頭痛の原因となることがあります。特にこめかみや後頭部に痛みを感じることが多いです。

5. 耳の症状

耳の痛みや耳鳴り(耳が詰まった感じ)を感じることがあります。これは顎関節が耳のすぐ近くに位置しているためです。

6. 顔面の非対称感

顎の片側に症状が強く出ると、顔の非対称感を感じることがあります。これは筋肉の緊張や関節の問題によるものです。

7. 歯の噛み合わせの異常

顎関節症の影響で、噛み合わせが変わることがあります。これにより、咀嚼時に違和感を感じたり、食べ物をうまく噛み切れなかったりすることがあります。

顎関節症の症状を和らげるための対策

休息とアイスパックの使用

顎を過激に使うことを控え、休息を取ることが重要です。また、痛みがある場合には、アイスパックを使用して炎症を和らげることができます。

柔らかい食事の摂取

硬い食べ物を避け、柔らかい食事を摂ることで、顎関節への負担を減らします。

ストレス管理

ストレスは顎関節症の症状を悪化させることがあります。リラクゼーションやストレス管理の方法を取り入れることが効果的です。

顎の運動とストレッチ

軽い顎の運動やストレッチを行うことで、筋肉の緊張をほぐし、関節の動きを改善することができます。ただし、無理な運動は避けましょう。

顎関節症の症状は、生活習慣の改善や適切な治療により和らげることが可能です。症状が続く場合や悪化する場合には、歯科医や専門医に相談することをおすすめします。

診断が見逃される原因

顎変形症かな?と思って医療機関を受診しても、診断には至らない場合があります。診断されない理由はいくつかあります。

医療従事者の認識不足

顎変形症の診断には専門的な知識が必要なため、一般的な歯科医や医療従事者が症状を見逃すことがあります。特に、明確な症状がない場合や、初期段階では気づかれにくいことが多いです。

症状の多様性

顎変形症の症状には様々なものがあります。例えば、顎の痛み、口を開けるときの障害、顔面の非対称などがありますが、これらの症状は他の疾患と混同されることがあります。そのため、正確な診断が難しくなります。

診察のタイミング

初期段階では顎変形症の症状が軽度であるため、診察時に見逃されることがあります。また、症状が進行してからでないと顎変形症と診断されないこともあります。

診断を受けるためのヒント

顎変形症の診断を受けるためには、いくつかのポイントに注意することが重要です。

適切な医療機関の選び方

専門的な知識を持つ医療機関を選ぶことが大切です。特に、顎変形症の診断と治療に精通した歯科医や口腔外科医を選ぶようにしましょう。

セカンドオピニオンの重要性

一つの医療機関で診断されなかった場合、他の医療機関でセカンドオピニオンを受けることを検討しましょう。異なる視点からの診断が有益な場合があります。

症状を詳細に伝える方法

医師に自分の症状を詳しく伝えることが重要です。具体的な症状やその頻度、発症時期などをメモしておくと診断がスムーズに進むことがあります。

自己診断の限界と専門家の役割

顎変形症を自己診断することは非常に危険です。その理由は以下のようなものです。

自己診断のリスク

自己診断により誤った治療を行うことで、症状が悪化する可能性があります。また、他の疾患との区別がつかないため、専門家の診断を受けることが重要です。

専門家の診断のメリット

専門家による診断は、正確で適切な治療を受けるための第一歩です。専門的な検査や評価を通じて、最適な治療法が提案されます。

顎変形症の治療法

顎変形症の治療法は症状やその進行状況によって異なります。以下に主な治療法を紹介します。

矯正治療

矯正治療は、顎の位置を調整するための一般的な方法です。歯列矯正器具を使用して、顎の位置や歯並びを改善します。

外科手術

重度の顎変形症の場合、外科手術が必要となることがあります。手術により、顎の骨の位置や形状を修正します。

その他の治療方法

症状に応じて、理学療法や薬物療法が行われることもあります。これらの治療法は、症状の緩和や改善を目的としています。

診断を受けた後の生活

顎変形症と診断された後も、日常生活において注意が必要です。

日常生活での注意点

日常生活で顎に負担をかけないようにすることが重要です。また、定期的に医師の診察を受け、治療の進行状況を確認することも大切です。

治療後のフォローアップ

治療が完了した後も、定期的な診療とチェックが必要です。治療後の経過を確認し、再発を防ぐための対策を行うことが重要です。

まとめ

顎変形症の診断は初期の場合に見逃されることがありますが、適切な医療機関の選択や症状を詳細に医師に伝えること、セカンドオピニオンの活用により、正確な診断と治療が可能です。自己診断に頼らず、専門家の診断を受けることで、症状の改善を目指しましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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