矯正したいけどお金がない、でも矯正して口元の印象を改善したいという方はおられます。矯正の際の平均的な費用や、お金がない場合の負担を減らす方法についてご紹介いたします。
歯列矯正の費用はなぜ高いの?
矯正治療の費用が高額になるのには、いくつかの理由があります。
- 治療期間が長い(一般的に1〜3年)
- 専門の技術や設備が必要(矯正専門医による診察、特別な装置)
- 定期的な通院が必要(月1回程度の調整が必要)
- 保険適用外で全額自己負担が基本(例外的に外科矯正は保険適用あり)
特に、日本では矯正治療のほとんどが自由診療のため、トータルで数十万円〜100万円以上かかることも珍しくありません。
しかし、「お金がないから矯正できない…」と諦める必要はありません。
矯正するための平均的な費用は
矯正治療による整った歯並びは、歯の機能の回復や口元から笑顔をより魅力的に見せるという意味合いにおいても効果的な治療です。矯正治療の費用は保険適用外で自由診療となるため、多くの人にとって大きな経済的負担になります。歯科医院の取り扱う矯正装置は異なるため費用にばらつきがあります。
矯正の範囲によって費用は違う
矯正する歯が数本のみ対象の部分矯正か、上下全部の歯が対象の全顎矯正かによって大きく異なります。
部分矯正
- 前歯1本だけの角度が前方に突出している
- 前歯の1~2本のみがねじれがある
このようなお悩みの方に行うのが部分矯正です。前歯数本のみに矯正器具を付けて行う治療であるため、全顎矯正に比べてリーズナブルな矯正が行えます。費用としておおよそ20万円~という医院が多いです。
全顎矯正
- 歯並びのガタガタが全体的である
- 咀嚼しにくく、噛み合わせも悪い
上下の噛み合わせや全体的に歯並びが悪い場合、部分矯正で改善することはできず、上下の歯全体に矯正装置を付ける治療の全顎矯正になります。部分矯正と比べれば治療期間が長くかかり、費用としておおよそ一般的に50万円~100万円位が相場と考えていただくとよいでしょう。マウスピース矯正はワイヤー矯正に比べて最近人気の矯正装置ですが、マウスピース矯正で歯並びが矯正できるかどうかは、患者さんのお口の状態を診察しないと判断できません。
矯正治療費が高い理由はなぜ?
矯正治療には高度な専門技術と長期間の治療が必要です。矯正歯科医の専門的な知識と症例経験、使用する矯正器具や材料の質、定期的な診察や調整の費用などが治療費に含まれています。矯正治療の費用は、治療の種類や期間、医院ごとに異なり、治療が複雑なケースや特殊な装置を使用するケースはさらに高額になります。
お金がないから経済的に負担軽減する方法
矯正治療の費用は高額です。矯正費用を支払うためにいくつかの方法で経済的な負担を軽減できます。
1. 部分矯正を選ぶ
歯並び全体ではなく、気になる部分だけを矯正する部分矯正なら、費用を大幅に抑えることが可能です。通常の全体矯正が80万〜150万円ほどかかるのに対し、部分矯正なら20万〜50万円程度で済むこともあります。
部分矯正が向いているケース
- 軽度のすきっ歯や前歯のガタつき
- 噛み合わせが大きくズレていない
- 見た目を改善したいだけで機能的な問題は少ない
注意点
部分矯正は適応範囲が限られており、全体の噛み合わせに影響する場合は難しいことがあります。
まずは歯科医に相談してみましょう。
2. 保険適用の可能性を確認する
通常、矯正治療は自由診療ですが、特定の症例では保険が適用されることがあります。
保険適用になるケース
- 顎変形症(顎の骨のズレが原因で噛み合わせに問題がある)
- 先天性疾患による不正咬合
- 重度の開咬や受け口で外科手術を伴う場合
保険適用なら、治療費が数万円〜数十万円に抑えられることもあります。矯正歯科専門医に診てもらい、適用条件を満たしているか確認しましょう。
健康保険の適用条件
矯正治療は一般的に保険適用外ですが、先天性である顎変形症や咬合異常などに該当する場合は、保険適用になることがあります。詳細は歯科医師に相談して適用条件を確認しましょう。保険適用内で矯正治療が受けられるとなった場合は、総合病院や大学病院にて治療を行います。
3. 医療費控除を活用する
矯正治療の費用は医療費控除の対象となる場合があります。
1年間に10万円以上の医療費を支払った場合、確定申告で一部が還付されます。
例えば…
矯正治療費:80万円
その他の医療費(歯のクリーニングなど):5万円
合計85万円 → これらが税額控除の対象になります
これにより、数万円の節税効果が期待できます。
ただし、「美容目的」の矯正は控除対象外となる場合があるため、診断書の有無などを確認しましょう。
4. 分割払い(デンタルローン)を利用する
矯正治療は一括払いが基本ですが、分割払いやデンタルローンを利用すれば、月々1万円程度で始められることも。
デンタルローンのメリット
- 初期費用の負担が少ない
- 金利が低い(医療ローン専用の低金利プランも)
- 月々の支払いが管理しやすい
「一括で支払えないから無理!」と思っていた方も、無理のない範囲での分割払いなら検討しやすいですね。
歯科医院独自の分割払い制度
矯正歯科を診療科目にしているクリニックでは、分割払いで負担を軽減する制度を導入しています。高額な治療費を一括で支払うのではなく、分けて金利のかからない方法で支払えます。分割回数はクリニックに確認が必要ですが、当院の場合は20回まで無利子で分割払いが可能です。
矯正治療費の節約術
最低限の料金で効率よく矯正をするためには、矯正器具を時間通りきちんと装着することが大前提です。それ以外にいくつかの工夫で節約することができます。
矯正治療を受けるタイミング
子どもの場合、成長期に矯正治療を受けると、顎の成長を利用して効率的に治療ができる点から、費用を抑えられると言えます。また、大人でも若いうちに治療を開始すると新陳代謝が活発なため、歯の動きが早く費用の節約に繋がる場合があります。
コストパフォーマンスの高い治療法を選ぶ
矯正治療にはさまざまな方法があります。例えば、インビザラインのような透明なマウスピース型矯正装置やワイヤー矯正など他の方法と比較して費用が抑えられる場合もあります。自分の希望や状態に最も合った治療法を選びましょう。
医療費控除をする
医療費控除は、審美目的でない医療が対象で、噛み合わせが悪い全顎矯正となれば、医療費控除の対象となります。小児矯正は、きちんと噛めていない顎の発達が原因で矯正を開始する子供が多いため、こちらも医療費控除の対象となります。国税庁に詳細が載っているため、こちらをご参照ください。
まとめ

矯正治療は高額な費用がかかるため、経済的な負担を強いる治療です。しかし、分割払い制度や医療ローン、保険適用の可能性、公的支援制度などを活用すれば、負担を軽減することができます。矯正治療を諦める前に、様々な方法を検討し、矯正歯科医師と相談して最適な解決策を見つけましょう。