
矯正の相談で聞くことが分からないという患者さんはおられます。矯正相談ではどのようなポイントを押さえておけば良いのか、詳しくご紹介いたします。
どこが気になるか相談する時間が矯正カウンセリング
矯正歯科での相談(カウンセリング)は予約制で行っている医院が多いです。当院も予約制で行っていますが、矯正カウンセリングの際には、まず患者さんが気になることを歯科医院で話をすることが大切です。
その1.悩みや理想や希望をしっかりと伝える
気になる部分やお悩みを患者さんが問診票に記入したうえ、相談時間になれば、理想や希望をしっかりと歯科医師へ伝えてください。
- 「こんな歯並びになりたいができる?」
- 「矯正と知られたくないからこの装置で矯正希望」
- 「できるだけ安く治療したい」
- 「何月までに綺麗にしたいけれど可能?」
- 「スポーツやっているけど矯正できる?」
このように一例を挙げましたが、歯並びの改善で個人が重視することは様々です。どんな理想があり、どんな悩みや希望があるのかなどは、治療計画を作成するうえで歯科医師側も状況把握をする必要があります。
その2.矯正治療法や費用を明確にする
お口の状態を確認したうえで適用できる矯正治療法を、豊富な症例実績がある歯科医師は提案してくれます。矯正治療には高額な費用がかかるため、治療計画や費用、期間についてきちんと説明を受け納得することはとても重要です。矯正治療の費用は、使用する矯正器具の種類や治療の複雑さ、治療期間、クリニックにより設定金額は異なります。一般的に、数十万円から数百万円の範囲で歯並びの矯正は行われると思っておいた方が良いでしょう。
支払い方の方法と保険適用の有無
多くの矯正歯科では分割払いやデンタルローンを導入している医院が多いです。費用や支払いプランは、料金と同様に各医院で異なりますので確認しましょう。矯正治療は基本的に保険適用外となるケースがほとんどですが、先天性の疾患により大学病院で治療を受ける必要があると診断されれば、保険適用の対象となる場合があります。
その3.治療の開始から終了までの流れ
矯正治療は長期間かかる治療で、患者さんが積極的に装置を付けて行うことが大切です。
治療計画同意後に治療開始
お口の状態を確認後、治療計画が立てられます。矯正治療を開始すると同意した後に精密検査を行う医院もあります。歯を動かすための矯正器具の装着や定期的な調整が行われます。
治療中に予想される訪問回数
治療中は通常、1ヶ月に1回から数ヶ月に1回のペースで歯科医院を訪れて歯の動きを確認します。進行状況によっては、ゴムなどの補助器具を使用する調整を行います。歯を動かす動的治療を終えた後は、保定装置(リテーナー)を装着して歯を固定する静的治療を行わなければなりません。
矯正後の保持装置の使用
歯の後戻りを阻止するためにはリテーナーを装着して歯を固定します。この装置は夜間に着用することが一般的ですが、状況によっては昼夜着用することもあります。
メンテナンスを受けること
保定期間を終えた後にも、矯正治療後は定期的にメンテナンスを受けたり、歯科医師の診察を受けましょう。定期的に通院することで、矯正の効果を長期にわたって維持できます。矯正治療には歯根吸収などのリスクがありますが、患者さんご自身のケアと定期的な歯科でのケアを受けていれば、これらは初期段階で発見できます。
歯科医師よりカウンセリングで説明されること
お口の状態を確認した医師からは、下記のようなことを説明されます。
矯正治療の見た目以外の目的
矯正治療は、歯並びや咬み合わせの問題を矯正器具を用いて修正し、機能的かつ審美的に改善する歯科治療です。先天性の疾患でない限り自由診療で費用は高く治療に時間もかかりますが、しっかりと歯を固定すれば、歯並びや噛みあわせの効果は一生持続する可能性があります。見た目の歯並びの美しさや噛み合わせの改善は、咀嚼(そしゃく)機能の向上につながり、口腔衛生が保ちやすくなることで患者さん自身の歯を長持ちさせられます。歯並びの治療期間は通常、1年半から3年程度かかることが多いですが、個々の状況により異なります。
矯正治療法の種類
矯正治療にはさまざまな方法があり、それぞれに特徴があります。治療法の選択は、患者の状態やニーズに応じて行われます。
- 表側矯正(マルチブラケット矯正)
- ホワイトワイヤー矯正(審美矯正)
- 裏側矯正(インコグニート矯正)
- インビザライン矯正(マウスピース型矯正)
表側矯正(マルチブラケット矯正)
歯の表側にブラケットを装着してワイヤーを通すブラケット矯正は費用が安いですが、見た目が目立ちます。
ホワイトワイヤー矯正(審美矯正)
ホワイトワイヤー矯正は歯の表側にブラケットを装着してホワイトワイヤーを通すため、遠くからは目立ちにくいですが、近くで見ると矯正の治療中と分かります。
裏側矯正(インコグニート矯正)
裏側矯正は歯の裏側にブラケットを装着してワイヤーを通すため目立ちにくいですが、発音に影響を及ぼすことがあります。
インビザライン矯正(マウスピース型矯正)
インビザライン矯正は見た目が半透明で取り外しが可能なため食事も気にせず食べられますが、適用できる症例が限られています。
矯正治療のリスク
矯正治療中は、歯の移動に伴う一時的な痛みや不快感があったり、歯の根が短くなるリスクがあります。また、しっかりオーラルケアを行っていないと虫歯や歯周病に感染するリスクもあります。定期的な歯科診察及び、歯科医院でのプロのクリーニングを受診していると、これらのリスクは大幅に低減されます。ただし、治療前にこれらのリスクについて十分に説明を受け、理解しておくことも忘れないようにしましょう。
矯正カウンセリングで実際に聞くべき質問とは?
矯正治療を検討されている方にとって、カウンセリングは非常に重要なステップです。でも、「何を聞けばいいのか分からない…」と悩まれる方も多いのではないでしょうか?
実は、適切な質問をすることで、治療の流れや費用、リスクなどを明確にし、納得したうえで治療を進めることができます。
1. そもそも矯正治療は本当に必要?
まず最初に確認しておきたいのが、「本当に矯正治療が必要かどうか?」という点です。
もちろん歯並びが気になっているからこそ相談に行くのですが、軽度の不正咬合ならば、無理に矯正をしなくてもよいケースもあります。
聞いておきたい質問
- 私の歯並びは、矯正治療が必要なレベルですか?
- 矯正しない場合、どのようなリスクがありますか?
- 矯正以外の選択肢はありますか?
こうした質問をすることで、矯正治療の必要性を客観的に判断することができます。
2. どの矯正方法が自分に合っている?
矯正にはさまざまな方法があります。
例えば、ワイヤーを使う表側矯正、目立ちにくい裏側矯正、マウスピース型のインビザラインなど、選択肢が多くて迷ってしまうかもしれません。
聞いておきたい質問
- 私にはどの矯正方法が最適ですか?その理由は?
- 各矯正方法のメリット・デメリットを教えてください。
- 見た目が気になるのですが、目立ちにくい方法はありますか?
矯正方法によって、見た目や費用、治療期間が異なります。
「自分に合った方法」を見極めるためにも、しっかり質問しておきましょう。
3. 矯正治療の期間と進め方
矯正治療は短期間で終わるものではありません。一般的に、1年半から3年程度かかると言われていますが、歯並びの状態によってはそれ以上になることもあります。
聞いておきたい質問
- 私の場合、治療期間はどのくらいかかりますか?
- どのようなスケジュールで進めていきますか?
- 途中で予定変更が必要になることはありますか?
「思っていたよりも時間がかかる…」という後悔を防ぐためにも、具体的な治療計画を確認しておきましょう。
4. 矯正中の痛みやトラブルについて
「矯正って痛いの?」と不安に感じている方も多いかもしれません。
実際のところ、矯正装置をつけた直後や調整後には、ある程度の痛みを感じることがありますが、その程度は個人差があります。
聞いておきたい質問
- 矯正中の痛みはどの程度ありますか?
- 痛みを和らげる方法はありますか?
- 矯正装置が壊れた場合はどうすればいいですか?
意外と見落としがちなのが「トラブル時の対応」。
もし装置が外れてしまったり、歯が想定外の動きをした場合、すぐに対応できるのかを確認しておくことも大切です。
5. 費用と追加料金について
矯正治療は決して安いものではありません。費用の目安は60万〜150万円程度ですが、治療方法やクリニックによって異なります。また、装置の変更や治療期間の延長によって、追加料金が発生することもあります。
聞いておきたい質問
- 治療費の総額はいくらですか?(装置代・調整料を含めた金額)
- 分割払いはできますか?
- 追加料金が発生するケースはありますか?
「思ったよりも高額になってしまった…」とならないように、費用についても細かく確認しておきましょう。
6. 矯正後の後戻りと保定装置について
せっかく矯正したのに、時間が経つと元に戻ってしまうこともあります。これを防ぐためには「保定装置(リテーナー)」を装着する必要があります。
聞いておきたい質問
- 矯正後、後戻りしないようにするにはどうすればいいですか?
- 保定装置はどのくらいの期間つける必要がありますか?
- 保定装置の種類と費用について教えてください。
後戻りを防ぐためには、矯正後のケアも重要です。「一生きれいな歯並びをキープするためには?」という視点で、確認しておきましょう。
まとめ
矯正治療は、適切な計画とケアによって効果が長持ちします。治療を受ける際には、これらの点を確認し、自分にとって最適な選択をすることが重要です。歯科医師やスタッフとの相談を通じて、治療の目的、期間、費用、リスクなどを十分に理解したうえで、納得のいく治療を受けましょう。